高齢者こそデジタルを!若宮正子さん(世界最高齢プログラマ)のはなし②

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スマホ、PC、IT
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ACジャパンのCMで「バッターボックスに立ってバット振ってみたら当たっちゃった」で有名なおばあちゃま、若宮正子さんの講演会の感想第2弾!いよいよデジタル沼にどっぷり入っていくリタイヤ後の話です。

常ににこやかで愛嬌たっぷり、ゆっくりながらリズミカルな口調でお話しくださり内容盛りだくさんだったので、感じたことや考えたことを書きます。

なお、その時の講演会で聞いたことを元にしているので、他メディアの内容とは違う部分があるかも知れませんがご了承ください。

※ この前後の記事①と③は下記からどうぞ ↓↓

退職後はコンピュータ三昧!!

仕事の合間にコンピュータと向き合っていた若宮さん、いよいよ定年退職の時が来ました。が、長年勤めあげた職場の人々とこれまでの業績をねぎらい涙のお別れかと思いきや・・・

まったく湿った雰囲気はなく、「みなさんさよならー!」と花束抱えて手をパタパタと振って、あんまりあっさりしたものだったので見送る方が驚いていたようです。

それもそのはず、これからの人生は大好きなコンピュータと時間があるだけ向き合えると思ったら、退職する日を待ちわびていたそうです(笑)

自由な時間が手に入って好きなだけコンピュータを使ってネットでの交流を楽しんでいた若宮さんは、1999年に円熟(メロウ)世代を対象にしたオンラインコミュニティ「メロウ倶楽部」に出会います。

また、インターネットを使いだして高齢者向けのサービスが乏しいことに気づき、それなら高齢者でも楽しいと思えるものを作っちゃえばいいじゃない?と考えたのがアプリの「hinadan」です。

ここでおもしろいのが、このアプリを構想している時に若宮さんご本人は「私はどんなアプリにするかアイデアを出して考える人。ここから先の開発とかは誰かできる人に頼もう」と思っていたそうです。

なのに、開発をお願いしようと思って相談したら「教えてあげるから自分で作ってみたら?」と言われてしまって「え~~っ!」と驚いたそうです。

普通の人なら、そうは言っても全くやったことないしその道のプロにお願いした方が早くていいものができるから任せちゃうと思うのですが、ここが好奇心の塊のような若宮さんは違います。

せっかくだからやってみようということになって、プログラミング言語なんて全くわからない状態からコツコツ書いていって完成させたものだそうです。

ただの好奇心だけではここまで完遂できませんね!すばらしい行動力と達成力です。

こうして完成した高齢者向けiOSアプリ「hinadan」は無事リリースされています。

“Apple社長”へ直撃クレーム!?

このことがきっかけでApple社のイベントから招待されますが、この時のエピソードもおもしろいです。

ある時「Apple」というところからメールが来たのでお友達や周囲の人たちに話すと、誰も本物のApple社からだとは信じられず、それはいたずらメールか迷惑メールでウイルスがパソコンに入っちゃったりするから「そのメールは絶対開けちゃだめよ!」と言われたそうです。

でも「開けちゃダメ」と言われると開けたくなってしまう性分で、元々の好奇心も手伝い「ポチっ」とメールを開いて読んでみると…本物のApple社からのメールでした。

それでメールをよくよく読んでみると、どうやらApple社がなにかイベントをするからあなたをゲストとして招待したいと書かれているようです。なんだかよく分からないけど、せっかくのご招待だし、こちらが1円も出さなくてもアメリカまで連れてってくれるのなら行ってみよう!というノリでお出かけしたそうです。

そうして参加したApple社のイベントで、ティム・クック社長と会います。

普通の人なら、世界に名だたる誰もが知る最先端テクノロジー企業の社長に会えば、結構緊張するだろうし、せめて笑顔で自己紹介とちょっとお喋りができたらいいところだと思うのですが…ここでも若宮さんは違います!

Apple社の社長ということは、使っているiPhoneも自分で作ったアプリも、つまりハード面もソフト面も両方の責任者…ということは、私たちの疑問や不満を聞いてもらうのにうってつけの人だ!とこれまで溜めていた鬱憤を晴らすべく、通訳挟んであれもこれも身振り手振り全身全霊使って訴えたそうです(笑)。

老人は「スワイプ」ができない!?

なかでも切実なのが「老人はスワイプできない!!」とのこと。高齢者の指先は乾燥しがちでカサカサだからiPhoneの画面が反応してくれなくてスワイプができない!タッチペンとかあるけど持ち歩くの面倒だしどこかに置き忘れそうだし、いちいちペンなんて出して使っててもちっとも便利じゃない!何とかしてくれって。これも直訴されたそうです(笑)

これ、ほんとご高齢者のリアルな声だと思うんですよね。使ってる人じゃないと分らないことです。せっかくiPhoneという高性能のスマホを手に入れて喜んでいても、スワイプできないのは機能がほとんど使えないのと同じようなものです。

スワイプっていう技術はデジタル機器の操作性を格段に高めた素晴らしいものだと思います。それまでのタッチパネルはカーナビなどのような、指先で押したときの圧力で反応するタイプでまあまあ力を加えないと反応してくれないですよね。特に画面表示を上下や左右に移動させるときは、ちょっと押し続けないといけません。

これ、指先でちょっと力かけるだけじゃない?と思われがちですが、若者は何の苦労も感じないでしょう。もともとある程度の力が指先まで通っているからです。でも、年齢を重ねてくると実感するんですが、意外と指先などからだの末端の力が低下してくるんです。

それと比べてスワイプはとても軽い力で画面がスイスイ動かせるので、高齢者だけでなくケガや病気などで力が入りにくい状態でもそれほど負担なく操作できると思います。

ところが、タッチパネルで操作するスマホやiPadやタブレットなど、便利な機能を豊富に備えたアイテムを使いたいと思っていても、スワイプがうまく使えなかったら利便性が激減してガッカリしてしまうと思うんです。

たとえば高齢者ユーザーのなかには、お孫さんと同じスマホにすれば分からないこともいろいろと教えてもらえるかもしれないと期待して同じ機種を選ぶ場合もありますよね。でも自分の指先で画面が反応してくれないんじゃ教えてもらってもできません!

せっかくスマホの使い方という共通の話題もできてさらにお孫さんとのコミュニケーションが増えたのに、いざ自分でやってみよう!と思った時に再現できなかったら…ほろ苦いですよね。

そしてたとえ高齢者でなくとも冬場なら冷え性で手先が凍えるように冷たくなっている時は、スマホは反応してくれません。指先を息吹きかけてフーフーするかポケットに入れてみるか何かであっためてから操作しないといけないので、スマホをチェックするまでに時間がかかってしまいます。

スマホ操作ができると訴求される、指先がタッチパネル対応の手袋やグローブも販売されていますが、指先が冷え切っている時は残念ながらあまり反応してくれません。

だから、それが年中問わず操作がしづらいとなると、きっと悲しい思いをしている方は多いんじゃないかと思います。

これぞユーザーの声だと思います。よくぞ言ってくれた!!という感じです。

でも、あれから5年以上経つけどその点は改善されていません、とちょっと残念そうでした(苦笑)。私もユーザーの一人として今後の改善にとても期待しています!Appleさんよろしくお願いします!!

(つづく)

conohaconoha.com/digital-for-seniors3

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